ちょっとした田舎で暮らす

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挟む母と隠す母〜守り抜く究極の愛〜

ハサミムシ(ハマベハサミムシ)

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↑写真の個体は40mm近い大型。

 

石の下など湿った場所で発見する事が多いハサミムシ。海辺や畑、山間部など生息範囲は広い。


植物の葉や果実、動物の死体など何でも食べる雑食性です。また日本だけでなく全世界に広く分布している。

オオハサミムシは不完全変態(卵から孵化した幼虫のときから成虫と同じような姿をしているタイプ)でカブトムシなどは完全変態(卵からイモムシ型幼虫、蛹から羽化して成虫の姿)の昆虫です。

またコブハサミムシは発達した後翅を持ち、羽化時期や越冬前の時期に空を飛べるのです♪
かなり小さい黒い前翅の下には、複雑に折り畳まれた後翅があり(カブトムシなら黒い硬い鎧が前翅で、その下に茶色い半透明の翅が後翅)、器用に一瞬で広げて飛んで行くのです✨

この様なタイプの昆虫はハネカクシも同様です。

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ハネカクシ。ハサミムシと姿はよく似てますね♪背中の小さな前翅が確認できますね。写真個体の大きさは25mm。

 

実はこの後翅の折り畳み方は近年まで解明されていませんでした。ずっと謎だったのです。

その後翅の折り畳み方はハネカクシでは左右の翅を最初に重ねたのちに2枚同時に折りたたみ素早く前翅の下に後翅を折り込んで収納するのです。また、左右どちらからでも折りたたむことができる器用な昆虫なのです。

 

その複雑な折りたたみ機構と機能は人工衛星のアンテナや太陽光電池パネルなどに応用されたりと幅広い応用が期待されています。

 

話はハサミムシに戻りますが、岩の下などの巣で産卵し卵のそばから離れることなくお世話を献身的に行います。その期間はなんと40-80日にも及びます。ハサミムシのお母さんは飲まず食わずで卵を守り、敵がくればお尻のハサミを武器に卵の前に立ちはだかる勇敢な昆虫なのです。

 

お母さんが大切に守ってきた卵から沢山のハサミムシの赤ん坊が産まれてきます。最初は真っ白い姿ですが、すでにハサミムシの形をしています。勇敢なハサミムシのお母さんはとても感動して空腹を忘れてしまうのでしょう。

頑張って1人で付きっきりの生活からやっと子育てという卵を守る緊張感から解放されるはずですが。。。。 

目の前の我が子は産まれてきたばかりでも、とてもお腹を空かせています。

愛おしそうにお腹を空かせている我が子を見つめる黒い瞳。その時!

ハサミムシのお母さんが取る行為は、なんと!自分の身を赤ん坊達に捧げるのです!!!

赤ん坊の最初の食事はお母さんなのです。

※全部のパターンではありません。

赤ん坊を抱きしめるように母の思いは子供たちの中で永遠となり、ハサミムシの世界は母性と言う絆で輪廻していくのでした。

食べ残された立派なハサミは究極の母の意地と愛情が詰まった人生の道しるべなのです。

 

岩の下などをそっと持ち上げると、ハサミムシの鋭い牙が落ちています。

その道しるべは、普段何気なく暮らしている私たち人間にも感慨深い大切な何かを語りかけてくるような気がしました。

 

余談の雑学

昔はトイレなどによく出没する昆虫だった為に関西方面ではユニークな地方名が付いていました。ご興味がある方は調べてみてはいかがでしょうか?怖恥ずかしいですよw

 

おしまい。