雄アリの行く末。〜一瞬で永遠の運命〜
春
↑ドイツでの桜の風景。日本と似てますよね。
アリの巣は春先にかけ羽を生やした♂雄アリと♀雌アリが誕生します。アリの巣の奥で女王蟻が必要な役割のアリを産み分けるんです。特にコロニーは働き蟻(産卵出来ない雌アリ)中心の女性集団(オスも少数居ます)で形成されてます。羽のある雄アリは新たな女王を見つけて青空の中で結婚する事が最大の使命でありその短い人生の絢爛(けんらん)たる大舞台が空なのです♪
↑ウメマツオオアリ♀
↑クロオオアリ♀
↑ムネアカオオアリ ♀
↑羽蟻を食べようと期待しているシューレーゲルアオガエルの子供達
↑その様子を見つめる馬。
※馬の写真は本筋とは全く関係ありません。
隙間から覗いて来たので面白かったです。
その羽アリ達を青空へと旅立たせる為に働き蟻達は巣穴の口を大きく広げます。この時期はアリの巣穴の周りにサラサラとした少し明るい土がこんもりと盛られていきます。
↑巣穴の周りにサラサラとした土が盛られている様子
その多くは鳥や蜘蛛などに捕食され無念な最後を向かえます。
↑蜘蛛の巣に雄アリが。。。
気温/湿度/風速/他の巣穴などから発せられるフェロモンなどの状況を巣穴の入り口でベテランの働き蟻達が絶えずチェックを行います。
我慢しきれずに飛び立とうとする若い羽蟻が飛び立とうとすると一斉に抑え込み、手を引っ張って巣穴の奥まで連れ戻します。
そんな世界が足元でくり返されているのです♪
青空で一度きりの結婚を終えた新たな新女王蟻はそれから20年(種により変わります)もの間卵を産み続け、コロニーを繁栄させて行きます。
一度の結婚で毎年出産し、性別も産み分ける。
そんなアリの世界。コロニーで絶対的なヒエラルキーの頂点に立つ女王蟻。
その女王蟻は20年間、一瞬のひと時であったオスとの思い出を糧とし、その心の中で寄り添い暗い地下の中で力強く生きていくのです。
暗闇生活が長いので視力が弱いアリ。
その為、役割分担制で規律を保っています。
フェロモンという言葉で色んな意志を伝達します。見張り係や兵隊係、ゴミ捨て係や給食係などキビキビと自分の役割を行います。
この役割分担は齢間分業といって年齢によって係が変わります。新人さんは巣の中で幼虫のお世話から始まり、お仕事マニュアルを叩き込まれます。年をとったベテラン係は巣の外での危険作業(食料探しや偵察係など)に分業されて行きます。
ベテランの給食係のアリは、もともと固形物は食べれません。液体、もしくは液体状にお料理をしてから食べます。
最初に食べるのは勿論給食係です。
給食係はお腹がはちきれそうになるまで食べます。はちきれてしまう蟻もいるくらいです。
その理由は女王蟻含め、自ら餌を食べません。
全て給食係から口移しでご飯を食べます。
だから給食係は何度も往復して餌と口移しに余念がありません。
その口移しのご飯も、↓この昆虫に横取りされる事があります。
このゴキブリの姿に似ている昆虫はアリヅカコオロギと言います。
蟻の巣の中で少し面白い共存生活をしています。
頻繁にチョロチョロと動き回っているアリヅカコオロギ。その理由は体から蟻と良く似たフェロモンを出して【仲間】とおもわせ、アリたちを騙すという擬態をしています。
当然アリにじっくり調べられると正体がバレてしまいます。その為に蟻よりもテキパキと逃げ回って忙しなく動き回るのです。
唯一蟻がじっとするタイミング。それは口移しのご飯の時です。その口移し中に横からそっと割り込み三つ巴になって餌を蟻からもらうのです。
少し話が逸れてしまいましたので、タイトルの内容、雄蟻について最後にまとめたいと思います。
↑これはキイロシリアゲアリのオスです。
※二年前の結婚飛行後に亡くなった物を保管。
かなり小さいので写真を撮ろうとした時に崩れてしまいましたが、大きさは女王蟻の約4/1で2ミリ程です。
その年に結婚の為に巣から飛び立つ羽蟻は同じ女王蟻から産まれたオスとメスです。
ですので同じ巣穴の羽付きのオスとメスは結婚しません。
他の巣穴同士で上手く結婚が出来たメスは長生きして新たなコロニーを新天地で作り生き続けますが、オスは結婚後儚い人生に膜を下ろします。
10年20年とオスの遺伝子はメスの中で生き続け、その色褪せる事ない思い出と共に女王蟻は力強く瞳を輝かせ続けるのです。
この長期間における産卵メカニズムは人類よりも遥かに進化を遂げた神秘です。人間の遺伝子は冷凍保存してもそこまで長期間遺伝子を維持できません。いつかその神秘のベールが紐解かれる日を楽しみにしています。
もうすぐ空で結婚式があちこちで行われます。
皆様も空を見上げてみてはいかがでしょうか?
その神秘に少し触れ合えるかもしれませんよ。
ちなみに女王蟻の味覚?好み?でそのコロニーは好きな餌の趣向が変わります。女王蟻が育った環境や標高など、同じ種類のアリの巣でも好き嫌いがあるなんて面白いですよね。
この事柄を踏まえ、私も甘いものを長期間に渡り摂取したい、いや!しなければならないと思いました。
これは必要な事だと思います。なぜなら少しでも女王蟻の気持ちを理解する上で必要不可欠な事項だからです。
本意ではありませんが、和菓子にするのか洋菓子にするのか、その日の好みで直感的に決めたいと思います。
人間とアリにおけるスイーツの存在意義。その魅力的な神秘にも迫りたいと思います。
オスアリを偲びつつ、オスアリの供養と、オスアリの代わりに心を込めて食べて行きたいと思う今日この頃でした。
これも試練か。。。しょうがない。。。受け止めて生きて行きます。
おしまい。